MESSAGEは弊社代表の太田和隆が社員に向けたメッセージを社外向けに加筆してみなさまに読んでいただくコラムです。
ダイヤ冷ケースの仕事に対する考え方を感じてもらえれば幸いです。

ハードトレーニングはダサい?

 先日の新聞にマラソンランナーだった瀬古利彦さんの記事が載っていました。瀬古さんと言えば、全盛期には日本を代表するマラソンランナーで、現在はDeNAの総監督に就いています。記事の内容は、ここ10年間に世界に通用する日本のマラソンランナーが出てこないことをとても残念に思っているとのことですが、その原因は明白で選手の練習量が極端に落ちていることだそうです。かつて瀬古さんが現役のころはマラソンの倍以上の距離を走るトレーニングを当たり前のようにこなしていたが、今はただ距離を走りこむ練習は古いと言われ、そのようなトレーニングを積む選手は不在であるがゆえの結果だというのです。シドニー五輪で優勝した高橋尚子選手は監督から練習を「もうやめておきなさい」と言われても、隠れてさらに走っていたそうです。その結果として笑顔で優勝のゴールテープを切るというダントツの強さだったわけです。そういう誰にも負けないトレーニングとそれに耐えうる環境を作り出す私生活の両立によって本当の強さを持った選手は周りに対して、自然とオーラを感じさせるそうです。そのような強い選手を輩出すべく、瀬古さんは3年後の東京オリンピックに向けた強化合宿でかつての超長距離走をトレーニングに加えていく、という内容でした。

 この記事を読んでとても共感を覚えます。しかし一方でこれを読んだ20代の若い人が同様に共感するだろうかという不安のようなものも感じます。瀬古氏が活躍した場面を知らない人たちが、かつてのトレーニング方法を復活させようとすることに対して「時代錯誤」と感じてしまうのではないかという不安です。

 私は昭和30年代生まれですので、物心ついた時から今日に至るまでに物質的進歩を体感してきました。幼いころに我が家には冷蔵庫がありませんでした。やがて冷蔵庫が存在するようになり、テレビが白黒からカラーになり、ビデオデッキが登場し、自家用車、エアコン、ポケベル、ガラケー、そしてスマホと便利で快適な機器がどんどん増えていきました。常にほしいもの、所有したいものが存在していたように思います。

 時々ですが、大学生や20代の若い人と話をする機会があります。「どんなものがほしいの?」という質問に対して「特にない」と答える人が多いようにも感じます。自分の部屋にはエアコンがあり、スマホを持ってゲームや通信が手元にあり、近所にコンビニがあれば、不便を感じる機会は少なくなったのかも知れません。社会全体としても少子高齢化、婚姻率の低下、年収200万円以下の低所得者の増加など活力を感じることができない現象も増えてきたようです。それらの現象と前述の厳しいトレーニングを行なわなくなってきたこととは無関係ではないように感じるのですが、みなさんはどう思われるでしょうか。

 現在、中途採用活動を行なっていますが、応募者の履歴に触れてみると、若い年齢にもかかわらず転職を繰り返している人が多いのを実感します。転職が悪いことと決めつけるつもりはありませんし、キャリアアップという成長のステップであれば、必要な場合もあると思いますが、どうもそうでもないらしい人も多いように感じます。瀬古氏が世界のトップランナーであったように、どのような仕事であれ、それによって生計を立てるという「プロフェッショナル」になるには、それに必要な時間とふさわしい内容のトレーニングは不可欠だと思います。それを継続していくには、仕事の意義や目的を明確にし、しかもそれが社会の役に立っているという実感がとても大切なのだと思います。他に負けない価値を生み出す力をわれわれ凡人が身につけるには、励ましあって日々のトレーニングを継続することが大切だと思うのです。

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