MESSAGEは弊社代表の太田和隆が社員に向けたメッセージを社外向けに加筆してみなさまに読んでいただくコラムです。
ダイヤ冷ケースの仕事に対する考え方を感じてもらえれば幸いです。

驚きの自然

少し趣向の変わった本を読んでみました。成田聡子さんというお医者さんが書いた「したたかな寄生」という珍しい昆虫や微生物に関する本です。実に不思議で、奇妙で、恐ろしくもある世界にびっくりです。

複数種の生物が相互に関係を持ちながら同じ場所に生活することを「共生」といいます。双方の生物に利益を得る関係を「相利共生」、片方のみが利益を得る関係を「片利共生」、片方のみが害を被る関係を「片害共生」、片方のみが利益を得て相手方が害を被る関係を「寄生」というそうです。

自然界には様々な生物の共生があるものだと驚きますが、中でも「寄生」はすさまじい共生です。例をひとつ挙げましょう。あるハチはゴキブリに寄生します。そのハチはすばやく逃げ惑うゴキブリに羽交い絞めにし、狙いを定めて運動神経節に麻酔を注入し、動きを麻痺させます。次に動かなくなったゴキブリに逃避反射を制御する神経細胞に毒を注入します。これによりゴキブリはハチから逃げようとしなくなります。さらに触覚を半分だけ切断し、この触覚を引っ張ることでハチは犬を散歩させるがごとく、意のままにゴキブリを操ります。そしてあらかじめ掘っておいた地中の巣穴に導き入れ、ゴキブリのお腹に卵を産み付けます。ハチは巣穴から這い出て、穴を砂で覆い、卵を抱えたゴキブリが他の捕食者から狙われることが無いようにします。

毒がまわったゴキブリがボーっとして3日間を経過するとハチの卵が孵化します。ハチの幼虫はゴキブリの体に穴を開けて体内に侵入します。幼虫は生きているゴキブリの新鮮な内蔵を食べて成長します。およそ1週間で幼虫は体内でサナギとなり、抵抗もせず内臓を食い荒らされたゴキブリはひっそりと息を引き取ります。1か月後、サナギから成虫となったハチはゴキブリの亡骸を突き破って巣穴から飛び立ち、食いつくターゲットであるゴキブリを探すそうです。

誰にも教わることなく、巣穴を作り、寄生すべき相手を探し出し、麻酔や毒の針を精密に刺して寄生する。ハチのDNAに組み込まれていると言えば、それまででしょうが、とても不思議でなりません。これが自然の偉大さなのでしょうか。

NHKの番組で「人体」というシリーズが始まりました。第一回は「腎臓」が主人公でした。私も知りませんでしたが、腎臓はおしっこを作り出して、体内の老廃物を排出するだけの機能ではなく、実に多くの重要な機能を担っているというのです。体内の酸素濃度は赤血球の濃度で決まりますが、この濃度をコントロールする機能は腎臓の仕事です。同時に血圧の制御も担当しています。それ以外も重要な役割を持ち、人間の寿命を決定するとても重要な臓器なのだそうです。

驚いたことは、腎臓をはじめとして五臓六腑を含めた各臓器は脳によってコントロールされているのではないそうです。それぞれの臓器が互いに情報を発信しながら、カラダ全体の最適な状態を維持すべく、それぞれの臓器の機能を発揮させているのだそうです。脳という中枢が存在しながら、各臓器が自主的に情報交換しながらそれぞれの機能を調整していく。まさにカラダは超優秀な組織であるのです。

生命というか自然というか、なんとも信じがたい状態が当たり前に作られていく。この不思議さをどう理解したらいいのかわかりません。村上和雄先生が言うように「サムシンググレート」が存在するのでしょうか。

われわれは今生きていることに感謝し、生まれてきた以上は、その役割使命を自覚して、現在の社会に生きるものとしての責務を果たさないといけないのですね。

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