MESSAGEは弊社代表の太田和隆が社員に向けたメッセージを社外向けに加筆してみなさまに読んでいただくコラムです。
ダイヤ冷ケースの仕事に対する考え方を感じてもらえれば幸いです。

目に見える事象と真実の姿

日差し

 相変わらずコロナの収束の見通しが不透明で、今年もヒラタさんの展示会が見送りになるなど、私たちの仕事への影響も続いています。世の中の誰もが自由な活動ができるようになるのを心待ちにしていることでしょう。 その解決手段としてワクチンはたいへん有効だと期待されています。

 そのような状況の中で、つい先日、兵庫県のどこかの町長か村長が60代前半の年齢にもかかわらず、ワクチンを接種したとの報道がありました。その冒頭の要約は首長という役職の権限を利用して高齢者よりも先に接種した、それは許されるのか、という印象を受ける論調でした。その先を詳しく聴くと、高齢者の接種予約のキャンセルで発生した廃棄前のワクチンの接種を受けたとの内容でした。

 このような報道内容をみなさんはどのように感じるでしょうか?朝のあわただしい時間にそのニュースの見出しに触れた人は「町長(村長)の権力乱用だ、けしからん!」と感じた人も多かったのではないかと思います。しかし詳しく検証していけば、地方行政のトップは様々な人たちと接点を持ちながら仕事を進めなければなりませんし、コロナを恐れて仕事のスピードが遅くなったり、罹患して業務遂行ができなくなったら、市民村民に悪影響があることは十分予想されます。職務上、一般の高齢者の前に接種を受けてもいいのではないか、むしろ早く受けるほうが正解なのではないかと考える人も少なくないと思います。ましてや廃棄前のキャンセル分であれば、町長(村長)の行動は適切であったとも思われます。

 当事者ではありませんので、詳しいことはわかりませんが、「60代前半の首長がワクチン接種を受けた」という事象が、伝え方・伝わり方によって情報の受け手の印象が大きく異なってきて誤解を生みやすいことを理解することが大切だと思うのです。テレビや新聞の報道では、それが意図的に使われていることがたびたびあることを、受け手の私たちはしっかりと理解する必要があると思います。

 似たような出来事が私たちの仕事の場面でも(意図的でないことがほとんどですが)発生し、課題解決がうまく進まなかったり、嫌な思いをする人が発生することを認識することが大切なのだと思います。

 先日、納品の際に積み忘れが発覚し、お客様にご迷惑をお掛けする事象が発生しました。納品現場の営業担当者として「頼むから忘れ物はしないでくれよ」という気持ちは想像に難くありません。この不具合を工場に連絡した際に「出荷検査はK君が行なった」という情報を聞いて「出荷検査を担当外にやらせるとは何事だ」的な指摘につながっていきました。それに続く工場側の忘れ物防止対策の説明の中で「積込確認書類は3枚作成している」という内容に対し「3枚は多過ぎる」的な指摘も出されました。

 確かにそれらの指摘は実際の事象に対しては的を外れてはいないようです。しかしながらそれらが核心を突いているとも言えません。出荷時に積み忘れが発生したという事実はまちがいないことですので、これには厳しい目で再発防止のため、引き続き対策と意識の向上を喚起していかなくてはなりません。しかし今回の場合、K君が出荷検査をしたことが直接の原因でもなく、積込確認書を3枚作成していることもきちんと機能すれば、かなりの確率で不具合防止が改善されているべきものです。

 問題解決や正しい判断には起きた事象のみをとらえるのではなく、その背景やプロセスをしっかり見極めて核心をつかまなければなりません。そのための情報収集と冷静な分析をしていくことが、信頼と利益の創出点の核心につながっていくのだと思います。

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