MESSAGEは弊社代表の太田和隆が社員に向けたメッセージを社外向けに加筆してみなさまに読んでいただくコラムです。
ダイヤ冷ケースの仕事に対する考え方を感じてもらえれば幸いです。

天野教授とTシェフ

理念と経営6月号では心臓外科医の天野先生の記事で勉強しましたが記憶に残っていますか。天皇陛下の執刀医として名をはせた名ドクターですが、若いころは決してエリートではなかったようです。エリートたちと伍すために継続したことは、現場で誰よりも多くの手術を重ねていったとのことでした。手術前に5パターンの「ストーリー」を予測し、手術中に戸惑うことなく「想定内」の判断で切り抜ける。それをひとつひとつ記録に残してファイル・データベース化していく。これが難易度の高い現場に遭遇しても瞬時に適切な判断を導き出すことを可能にしました。人生において勉強で学べることは3割、残りは経験によって身につけるしかないという「原点」を持ち、99%の努力や試行錯誤があるからこそ1%のひらめきを生み出すことができる、という言葉も印象的でした。まさにPDCAを積み重ねて、それらを頭の中にデータベース化して自らのスキルを磨いていく。心臓手術もショーケースづくりもベースとなることは共通していることを学びました。

 久しぶりにM社のTシェフとお会いしました。毎回のプロジェクトごとにまとまった台数のご注文をいただいているのはみなさんがご存じのとおりです。今回の訪問の目的は、当社の新卒採用活動の一環での動画に登場していただき、ユーザー代表としてコメントを述べていただくお願いに上がりました。おかげさまでご快諾をいただきました。たいへんありがたいことです。

 この時に最近のM社さんが取り組んでいる事業についてお伺いすることができました。2012年に温泉と食とスイーツのリゾート施設を作りましたが、つい先日、その周辺の敷地に「素粋居(そすいきょ)」という12棟からなる新たな宿泊施設がオープンしました。同時に高名な料理人によるそば、うなぎ、熟成肉のレストランもオープンし、今までの施設ともども他に真似のできない魅力は大きな話題となり、すでに予約は好調に埋まってきているとのことです。さっそくこのプロジェクトの情報をキャッチしたリゾート開発大手の会社がコラボを打診してきたそうです。私たちのユーザーさんがこのように大きく事業発展する姿に接することができるのは、本当にありがたく誇らしくもあります。お話を伺っているとため息がでてきますが、「当社のスイーツが発展していくのも貴社のショーケースあってこそです」というような言葉をいただくと、われわれの仕事も貴重な価値があるのだと気づきを新たにしました。

 T氏はまさに世界的に高名なパティシエですが、感銘を受けるのは、ビッグネームでありながら私たちの提供する細かな情報にも実に敏感に興味を示されます。営業の西さんが長年に渡りM社さんを担当してくれていますが、面会のたびに参考としてお渡しするさまざまなお菓子がたいへん参考になっているとの言葉をいただきました。今回は横浜に新規オープンしたお店のチョコレートをお届けしましたが、さっそく担当の責任者のかたとともにその商品を研究されていました。世界の著名なシェフとの情報交換を絶やさずにそのネットワークを広げ、一方では細かい情報にもしっかりアンテナを立てていく姿勢がT氏の発展の原動力なのだと感じました。

 天野先生もTシェフも豊かな才能を持ちながら、その上に現場での多大な努力と細部にわたる情報収集力が共通しているのを感じました。私たちもレベルの違いこそあれ、そこをしっかり学んでいきたいと思います。

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