MESSAGEは弊社代表の太田和隆が社員に向けたメッセージを社外向けに加筆してみなさまに読んでいただくコラムです。
ダイヤ冷ケースの仕事に対する考え方を感じてもらえれば幸いです。

高市さんの言葉に思うこと②

 今月も高市新首相の話を採りあげていきたいと思います。先日、高市新首相が「働いて、働いて、働いて……ワークライフバランスを忘れて働きます」という趣旨の発言をされ、大きな議論を呼びました。働き方改革以来、こうした強い言葉は賛否の対象になりますが、本気で国を立て直すという覚悟が込められていることも事実だと思います。実際、高市さんは予算委員会に臨むにあたり、午前3時から官僚と勉強会を行い、徹底的に準備をしたと報じられています。誰よりも学び、誰よりも働き、責任を果たそうとする姿勢は、リーダーとしての強い決意を示すものと感じます。

 日本は戦後、焼け野原となり、世界から「本当に立ち直れるのか」と思われるほどの最貧国でした。天然資源はほとんどなく、頼れるものといえば「人の力」だけ。しかし当時の人々は、復興のために昼夜を問わず働き、知恵を絞り、技術を磨き続けました。その努力の積み重ねが、わずか20年足らずで東京オリンピックを開催できるまでの成長を生み出したのです。日本を押し上げた原動力は、まぎれもなく「働くことへの誇り」と「未来を自分たちの手で切り開く」という強い意志と夢だったと思うのです。

 その後、日本は世界屈指の経済大国となりました。しかしバブル崩壊以降、長く停滞が続き、国力はどんどん低下し、今では二流国から三流国へと転落しつつあると言われることもあります。もちろん政治や制度の影響もありますが、私たち国民の働く意識が変化してきたことも無関係ではないと思います。「働くことはよくないことという空気」「頑張る人を揶揄する風潮」「働かないほど良いという価値観」――こうした考え方が世の中に徐々に広がっているように感じます。

 誤解してほしくないのは、過酷な働き方や長時間労働を肯定するわけではありません。不当な労働を強いることがよくないのは当然ですが、「働くことそのものの価値」まで否定してしまっては、本質を見失ってしまいます。本来、働くという行為は、自分の能力を磨き、人から必要とされ、社会の役に立ち、家族を支えるという、人生に深い充実感を与えるものだと思います。働くことは“尊い営み”であり、努力を重ねる中で、人は成長していくものだと実感します。

 私たち中小企業は、大企業のように豊富な資金や設備や卓越した技術を持っているわけではありません。唯一、我々自身が最大の資源であり、未来を切り開く鍵です。一人ひとりの知恵と技術、小さな改善、周囲への思いやり、粘り強い努力――これらが積み重なって、会社の力となり、やがて大きな成果へとつながっていきます。

 いま日本全体が「働く意味」を見直す時期に来ているように思います。私たちも同じです。高市さんが示したような“覚悟と準備の姿勢”は、組織の規模に関係なく学べるものです。知恵を絞り、力を合わせ、より良い仕事をつくり出す。その積み重ねが、会社を強くし、社員一人ひとりの成長にもつながっていきます。

 働くことを改めて考え直し、互いに励まし合い、誇りを持って日々の仕事に取り組む姿勢こそ、私たち中小企業の最大の武器です。皆さんとともに、何のためにこの仕事をするのか。もう一度しっかり胸に刻み、未来へ向かって歩んでいきたいと思います。

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