MESSAGEは弊社代表の太田和隆が社員に向けたメッセージを社外向けに加筆してみなさまに読んでいただくコラムです。
ダイヤ冷ケースの仕事に対する考え方を感じてもらえれば幸いです。

弘兼憲史さんとみなさんからの回答に学ぶ

 前回の社長通信で紹介した弘兼憲司さんの「星春の蹉跌」をみなさんに読んでもらい。今月の最初のグループ朝礼でディスカッションしてもらいました。みなさんの回答はいつもと比べて読み応えのあるものがたくさんありました。理念と経営誌の記事はなかなか固い内容が多いですから、それはそれで読んで考えて発表することで学べるはずですが、取り組みやすさという点では、こういう作品のほうが身近に感じられるのでしょう。

 まず題名にもある「蹉跌」という言葉の意味を調べて確認してくれた人がいました。「蹉」はつまずく、「跌」は転ぶという意味がありますから、文字通り「当初の見込みと違ってうまくいかない状態」を意味します。なぜこのような言葉ができたのでしょう。やはりいつの時代も物事は予測どおり、見込みどおりに進むこともあるけれど、うまくいかずに思い悩む人もたくさんいたからこそ、こういう言葉が生まれたのかなと想像してみたりします。ということは、現実は見込みどおりに物事が進んでいかないことが多いという事ではないか。うまくいかなくて嘆くよりも、前向きに努力を重ねていって初めて「うまくいく」を作り上げているのではないかと改めて気づいたりします。

 私自身が考えさせられたのは「若いころの自分に会った時に、もっとよいアドバイスをしてあげるべきだったのではないか」という意見です。ストーリーを読み返すと、30年前の自分に会った時に「芝田専務は不祥事で失脚して、自分は閑職に回され、そのまま定年を迎える。俺の人生を不幸にした専務の娘との結婚はやめろ。そして今付き合っている彼女は将来一流の建築家になる。どっちを選ぶんだ?」というアドバイスをしています。若い自分に幸せな人生を歩んでもらうために、もっとよいアドバイスをするならば、あなたはどんなアドバイスをしますか?

 アドバイス例①

 「芝田専務はやがて失脚してお前は閑職に追いやられる。しかしそこで腐るな。一番つらい思いをしているのは専務の娘である君の奥さんだ。その気持ちを汲みながら、励まして、お互いを思いやり、協力して、二人で少しでもよい人生を築けるよう頑張れ!」

 アドバイス例②

 「君の結婚相手は君が心から愛すことのできる人がいいはずだ。今の彼女だとすれば、とても才能のある人だから、その才能を伸ばせるように君も最大限のサポートをしてあげるといいだろう。専務の娘であれば、30年夫婦でいるだけの縁があるのだから、何があろうとお互いを認め合い、協力していい人生を作るように、まず君自身が努力することを忘れるな」

 アドバイス③はあなたが考えてみてください。

 いかがでしょうか。私はこのストーリーから、自分の今の姿は今までの私自身の意思決定の結果であり、しあわせであろうと、少々不満が多かろうと、それは自分が決めたことと自覚すること。決して人のせいではないこと。そして今の状態の不満を改善し、進歩していくために変えていくべきものは、周りの諸条件ではなく、自分自身の考え方や行動なんだ。「周りや人は変えられない。変えられるのは自分自身」なのだ、という事を感じ取ってもらいたいと思い、4月①の設問を作りました。そしてそのような感想も多々いただきましたが、「蹉跌」の意味や「もっとよいアドバイス」という設問回答から、もっと深くもっと多面的に考えなければいけないと気づかされました。いやあ、なかなか深いよね。そしてまだまだ未熟だな、と反省。

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