MESSAGEは弊社代表の太田和隆が社員に向けたメッセージを社外向けに加筆してみなさまに読んでいただくコラムです。
ダイヤ冷ケースの仕事に対する考え方を感じてもらえれば幸いです。

この恩に報いるために

先々月に北陸のS洋菓子店のT社長がお亡くなりになりました。まだ59歳。あんなに元気でパワフルなかたでも病魔には勝てませんでした。葬儀でご一緒した大阪のSさんが「死神は相手を選ばず容赦しない。生きてるうちにTさんのようにどれだけ頑張りきれるかだ」という言葉が印象的でした。まだまだ活躍してほしいかただっただけに残念でなりません。

T社長との出会いは25年ほど前になるでしょうか。オーナーシェフとして独立して間もないころでした。「神戸の有名店で活躍した腕利きの職人さんが店を出した」と話題になり、私は現地の代理店さんと共に「ダブルクーリングを紹介しに飛び込み営業をしよう」と他社のショーケースを使っているまだ小さかったS洋菓子店のドアをたたきました。ひげをたくわえて、いかにも「腕利きパティシエ」風情のTさんにひととおり商品説明をさせてもらいました。かえってきたコメントは「私の作ったケーキならば、どんなショーケースに入れても売れる(めちゃくちゃ要約しました)」というものでした。「きちんとおいしい商品を作れば、お客様はわざわざ買いに来てくれる」という原理原則論に対して、返す言葉がありませんでした。手も足も出ずに撃沈されてしまった気分でした。

時が移り、代理店の担当者さんから「むかし門前払いくらったS洋菓子店さんが新しいお店を出すらしいから行ってみよう」と再び営業に行きました。そこでT社長から聞いた言葉は「商品の価値をお客さんに伝えるには店舗の力が大切だ。中でもショーケースは特に重要なポイントだ」というものでした。数年の間に全国に質の高いケーキを提供するケーキショップが飛躍的に増加し、もはや商品力のみではお客様に選んでもらえることがむずかしくなっていたのです。商品の持つ価値をどうやってお客様に伝えていくか、そのための売場のありかたの変革が問われるというものでした。最初はホールケーキの専用ショーケースの採用でした。わずか5尺のショーケースでしたが、その活用によってS洋菓子店さんのデコレーションケーキやアントルメの売上が一気に増えました。

数年後には、それまでT社長が出店したいと考えていた土地の賃借契約がまとまり、立地も規模も充実したお店を作られます。この頃になると、メイン商品にバウムクーヘンを据えて収益率の高い焼菓子の拡販に取組みます。新しく開店するお店では、それまで洋菓子専門店では導入がまれであったギフト専用ショーケース(12尺)が計画に盛り込まれました。そして今でもこのショーケースがバウムの販売の中心的存在で活躍しています。

現在の私たちのケーキショップに売場に対する考え方や製品開発の原点は、このT社長から教わった店づくりの考え方がベースになっています。たいへんお世話になったTさんに心より感謝の気持ちを込め、ご冥福をお祈りしたいと思います。

 

平成31年3月7日

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