MESSAGEは弊社代表の太田和隆が社員に向けたメッセージを社外向けに加筆してみなさまに読んでいただくコラムです。
ダイヤ冷ケースの仕事に対する考え方を感じてもらえれば幸いです。

「和」を重んじてきた日本の文化

チーム

 今月のグループ朝礼では「和をもって興す」という社是を社名にもしている興和工業という会社の記事を採りあげさせてもらいました。

 限られた業界向けの特殊な技術を新たな用途開発をしてピンチをチャンスに転換していく成功事例で、その原動力となったのが、お互いを大切にし合い協力して成長する、という社是に立ち返ることであった、という内容でした。

 「和をもって興す」。聖徳太子の十七条憲法のような壮大な社是だと感じましたので、改めて十七条憲法について調べ直してみました。

 この憲法は西暦603年に聖徳太子が定めたといわれています。その第一条が「和を以って貴しとなす」という有名な一文です。要は仲よく協力して話し合い助け合うことは大切ということです。当たり前のようですが、調べていくとこれがとんでもなくスゴイことなのです。

 第二条は、仏教を信じましょう。第三条は、天皇の命令には従いましょう、と続いていきます。7世紀の時代に宗教の教えよりも、天皇の命令よりも、人の「和」が上位にきていることが驚きです。以下、誰もが礼儀を重んじよう、よい行いは褒め悪いことは改めさせよう、勤勉に仕事をしよう、真心を持って対処しよう、信用第一、賄賂は受け取るな、人事は適材適所、恨みや妬みはみっともない、など人としてのありかたや仕事への取組み姿勢が条文として定められているのです。

 この時期の西洋は専制君主制のローマ時代に当たり、一人の王様が人民を支配する独裁国家であったときに、日本ではすでに健全な人の生き方や仕事の仕方の方向性を示し、民主的な精神を大切にしていたということは特筆すべき歴史であり先進性だと思うのです。

 時は流れて1868年、明治天皇が五か条のご誓文を発せられました。その第一条は「広く会議を興し万機公論に決すべし」、第二条は「上下心を一にして、盛んに経綸を行ふべし」となっています。人々の意見を集めて話し合って物事を決めよう、身分を問わず心を一つにして国を治めていきましょう、という意味になります。

 十七条憲法から1200年以上経過していますが、そこに流れる精神に共通するものを感じませんか。日本の文化の中には、みんなで話し合って力を合わせていこう、という精神がDNAの中に刻み込まれているのです(十七条憲法や五箇条の御誓文についてはぜひ調べてみてください。きっと新たな気付きがあると思います)。

 昨今、スマホなど直接言葉を交わさなくても情報伝達ができる技術が普及し、個人の個性や人権が必要以上に重んじられてきているように感じます。もちろんこれらが大切なことに変わりありませんが、それが優先されすぎて、今まで大切にされてきた「人の和」が軽んじられているように感じます。

 人間の3大本能は、食欲・性欲・集団欲と言われています。生命を維持するために栄養素を体内に取り込むこと、子孫を絶やさず未来の社会に生命をつなげていくこと、そして人と仲よく交流して和を重んじることは、人間の本能でありしあわせの源泉なのです。

 古来より日本が大切にしてきた「和」という文化を、興和工業さんは見つめなおして企業文化を構築されてきました。私たちもそこにもう一度焦点を当てて、高品質や信頼や商売繁盛を生み出す気くばり・目くばり・心くばりの力を、来年に向けてもう一度見つめなおして、よりよき社風と業績を目指していきましょう。一年間、おつかれさまでした。

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