MESSAGEは弊社代表の太田和隆が社員に向けたメッセージを社外向けに加筆してみなさまに読んでいただくコラムです。
ダイヤ冷ケースの仕事に対する考え方を感じてもらえれば幸いです。

人の気持ちを想像する力を、どう育てていくか

読書

 理念と経営誌12月号の小檜山博先生の「ぼくの心配性」という記事がとても印象的でしたので、それに対する感想を書いてみたいと思います。

 あらためて強く感じたのは、「人は一人では生きていけない」という、ごく当たり前でありながら見落としがちな事実です。私たちは日々、家族、同僚、上司、部下、お客様、取引先など、多くの人と関わりながら仕事をしています。どれほど技術や知識があっても、人との関わりがうまくいかなければ、良い仕事を続けることはできません。だからこそ、相手の考えや気持ちを汲み取ろうとする姿勢が、人間関係を良好に築くうえで欠かせないのだと思います。

 相手の感情や立場を察する力、いわゆる「想像力」は、これまでの経験の積み重ねによって育まれてきたものだと思います。これまで人と関わってきた経験、学校や仕事で学んだ知識、読書や映画、テレビ番組などを通じた疑似体験――そうした一つひとつが、私たちの想像力の材料になっています。そして、その蓄積をもとにして、今、目の前にいる相手は何を考え、何を感じているのかを想像しながら向き合うことになるのですね。

 「考える」という行為は、脳の中で言葉を使って行われていますよね。そのため、言葉のストックが少ないと、考えそのものが浅くなり、広がりにも限界があるように思います。反対に、質のよい言葉を多く身につけている人ほど、物事を多角的に捉えることができ、相手の気持ちや背景をより深く想像できるようになります。言葉は単なる表現手段ではなく、思考の深さや人間理解の深さを決める重要な要素であり、それが人生の豊かさにも直結していると感じます。

 考える力を養ううえで、読書が非常に優れていると感じる理由も、そこにあります。読書は、理解に迷った部分を何度でも読み返し、前後の文脈を確認しながら、自分のペースで思考を深めることができます。映画や映像作品にも多くの学びはありますが、流れを止めて考え直すという点では、読書のほうが向いている場面も多いでしょう。腑に落ちるまで考え、理解して得た知識や気づきは、表面的な情報とは違い、記憶の奥深くに残り、実際の行動や判断に活かされていきます。

 仕事や人間関係において、相手の気持ちを汲み取りながら、よりよい方向を選び続けることは決して簡単ではありません。数学の問題のように、誰が見ても同じ正解がある場面は非常に稀で、多くの場合は迷いや疑問を抱えながら判断をしていくことになります。その際、一度で正解を出そうとするのではなく、「これは本当に相手にとって良いだろうか」「別の見方はないだろうか」と問いを重ね、振り返りながら検証していくことが大切なのだと思います。その積み重ねによって得られた経験こそが、「知識」を超えた「知恵」として自分の中に蓄えられていきます。

 記事の最後で筆者が自らの反省を語っている姿勢にも、強い共感を覚えました。押し付けではなく、静かに自分を省みるその言葉に触れ、私自身も情緒と想像力が少し豊かになったように感じます。こうした優れた文章との出会いを大切にしながら、私たち一人ひとりが考える力を磨き、よりよい人間関係と仕事につなげていけたらと思います。こうした学びを日々の仕事や人との関わりの中で少しずつ活かしながら、互いを思いやり、より良い関係を築いていける職場にできたらすばらしいですよね。

 最後に今年1年大きな事故など無く、みなさんと仕事をできたことに感謝いたします。来年はさらに元気で、よい1年を力を合わせて築きましょう。

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