MESSAGEは弊社代表の太田和隆が社員に向けたメッセージを社外向けに加筆してみなさまに読んでいただくコラムです。
ダイヤ冷ケースの仕事に対する考え方を感じてもらえれば幸いです。

語彙力を上げてマインドイノベーションへ

スノーマン

今月は「プロダクトアウト」「マーケットイン」「ユーザーイン」という言葉について勉強しました。中には初めて耳にした言葉だという方もいたようです。それはそれでOK!新たな言葉の意味を理解して思考の幅を広げていくことが大切なのです。

 改めてそれぞれの意味を復習してみましょう。「プロダクトアウト」というのはとかく生産者側の理屈が前面に立つ考え方です。作り手がいいと思うものを作る、作ったものを売る、というもので、作り手の身勝手や都合が優先される印象が強く、あまりいい意味で解釈されません。需要が供給を上回る市場環境ならば通る理論ですが、昨今のあらゆる面で供給過多の時代においては、衰退の要素となってきます。

 「マーケットイン」とは顧客のニーズや意見をくみ取って製品開発を行なうもので、顧客の声に耳を傾けよう、ユーザーをもっと知ろうということになると思います。

 「ユーザーイン」とはまさにアイリスオーヤマの商品開発を一言で表現した言葉で、使用者の不満不便の解消を目的としてユーザー目線で商品開発をすること、マーケットインよりもっとユーザーに近づいた発想を基にするという考え方と理解していいと思います。

 こう見てくるとプロダクトアウトは悪しき発想のような感じがしてきます。私はここ数年新聞をipadやiphoneで読んでいますが、かつては自宅に配達されたものを読んでいました。初めてスマホで新聞が読めることを知ったとき、しかも小さな文字が指2本で拡大したり縮小したりできるなんて、それまで想像もしたこともないものを手にした驚きを感じたことが思い出されます。もう満員電車の中でいちいち小さく折りたたんで読むことも無くなりました。まさかこのような形で不便が解消されるとは考えもしませんでした。これも確かにユーザーインの発想なのかもしれませんが、アップル社の開発者による人の想像をはるかに超えるモノづくり、プロダクトアウトの最高点であり、まさに人々の生活を変えるイノベーションと言えると思います。

 これをプロダクトアウトの一環であると定義すると、今回の学びをきちんと理解するのが難しくなるようですので、私たちはプロダクトアウトを「作り手主導の(使い手不在の)身勝手なモノづくり」とし、iphoneのような発想はイノベーションと定義しようと思います。

 私たちは「プロダクトアウト」「マーケットイン」「ユーザーイン」「イノベーション」という言葉を勉強したことで、お互いの共通言語が増えたことになります。とかく生産者、製造者は「プロダクトアウト」の考えに陥りがちだと思います。本来ならばもっと使い勝手を良くしなければならないのに、難しい、時間が無いなどと妥協したり、こうしてほしいというリクエストがあっても、手間がかかり過ぎる、品質が安定しない、一度作るとまた作らないといけなくなるから、それはお客の言いなり過ぎる、という言い訳をして新たな可能性の芽を摘んでしまっていることが無いだろうか。その時に「プロダクトアウト」という共通言語が頭の中にあれば、「今の考えはプロダクトアウトになっていないだろうか」とい自問することができると思うのです。もちろんお客様からの要望のすべてを実現化しようと言っているのではありません。

 今後マーケットはどんどん厳しくなっていくと予想されます。できればショーケースでイノベーションを起こしたいものですが、それはそう簡単にはいきません。まずは我々の脳の中にある悪しきプロダクトアウトの考え方に気づいて、健全な挑戦者の意識を忘れないようにすることがマインドイノベーションにつながるはずだと思うのです。

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