MESSAGEは弊社代表の太田和隆が社員に向けたメッセージを社外向けに加筆してみなさまに読んでいただくコラムです。
ダイヤ冷ケースの仕事に対する考え方を感じてもらえれば幸いです。

すごい使命感を持っている人たちがいる

とび

 NHKの「プロジェクトX」という番組が復活しました。輝かしいプロジェクトの成功を陰で支えた人たちに光を当てて、その功績を称える内容は以前と変わりありません。復活した番組で最初に取り上げるのは東京スカイツリーの建設を支えた職人たちでした。特にとびの職人さんがすごかった。

 とび職は建築現場での高所作業を専門とする職業を言います。ここでは高さ634メートルのタワーを構成する3万本以上の鉄骨をボルトとナットでつないで組み立てていく仕事です。最後のほうは地上600メートルくらいの空中に身をさらしながら鉄骨をつないでいくのですから、どんだけおっかないことでしょう。高所恐怖症の人にはできない仕事です。当たり前です。

 いろいろ困難がありながらも、タワーはほぼほぼ組みあがり、先端部の少し細くなっている部分を頂上付近まで引き上げて、本体に数か所で固定する作業に入りました。最後の一か所の固定に入った時に東日本大震災に襲われます。地上600メートルの揺れはどれほどだったのでしょうか。ものすごい恐怖にちがいありません。揺れが収まり、職人さんたちは階下に一時避難します。安全を優先すれば作業を一旦中断すべきでしょう。しかし残り一か所の固定作業が終わっていません。大きな余震が来たら先端部が本体から外れて落下してしまうかもしれません。そうなっては大惨事です。多くの人の命を奪うことになることでしょう。固定作業を担当するとびのチームは迷うことなく「固定しに行くぞ」というリーダーの一声で、階段を駆け上がって行きました。現場に居合わせたゼネコンの担当者は、「命を顧みず責任を全うする使命感にただただ驚き、頭が下がる思いだった」とその時の思いを述べています。ものすごいプロ根性に感銘を受けます。

 そういえば同じようなプロの物語があったと思い、以前に鑑賞した「Fukushima50」という東日本大震災に襲われた福島原発の現場の様子を描いた映画をアマゾンプライムで再度鑑賞しました。

 原発事故はみなさんの記憶にも残っていると思いますが、福島第一原発は全電源を失い、圧力容器の爆発の危機に直面します。これが爆発したら首都圏を含めた東日本が放射能に汚染され、日本国は壊滅します。これを回避するには圧力容器を減圧しなければならないのですが、電源が失われているため、原子炉建屋内にある減圧弁を人間の手で開放しなくてはなりません。しかし建屋内の放射線量はものすごく高くなっており、命を落とす危険は極めて高い状況です。佐藤浩市演じるリーダーは志願者を求めます。しばらく沈黙が流れます。リーダーが「私と一緒に来てくれるやつはいないか?」というつぶやきのような言葉に、次々に全員が「俺が行きます!」「私が行きます!」と声を上げるのです。最後に火野正平演じるベテラン社員が「若いやつに行かせるわけにはいかん。わしら現場を知り尽くした年寄りが行く!」と混沌とした場を収めるのです。

 映画ですから多少のフィクションもあるでしょう。しかし原作はジャーナリストの門田隆将氏の著作なので、実際の現場でもこれに近い出来事があったに違いありません。

 現在、私たちがこうして東京で仕事ができているのは、こういった人たちの使命感を伴った仕事のおかげだということを知っておくべきだと思います。またその人たちの使命感から私たち自身のありかた、考え方をしっかりと学ばなければいけないと感じます。

 「硫黄島からの手紙」についても書きたかったのですが、それは次回に、という事で。

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