MESSAGEは弊社代表の太田和隆が社員に向けたメッセージを社外向けに加筆してみなさまに読んでいただくコラムです。
ダイヤ冷ケースの仕事に対する考え方を感じてもらえれば幸いです。

使命感と戦争の理不尽

慰霊碑

 先月の「使命感」について、今月は「硫黄島からの手紙」というクリントイーストウッドが監督した映画についてお話したいと思います。

 この映画は大東亜戦争末期の硫黄島における日本とアメリカの戦闘をテーマに作られたものです。この島に陸軍の栗林中将が赴任するところから始まります。この年の前年のマリアナ沖海戦において、アメリカ軍は日本の連合艦隊に壊滅的打撃を加え、サイパン島を占領。これによってB29爆撃機による日本の本土空襲ができるようになりました。しかしB29単独では日本上空で日本軍の戦闘機に迎撃されてしまうので、B29を護衛する戦闘機と共に出撃する必要があります。しかしサイパンからでは戦闘機の航続距離が足らないため、戦闘機が往復可能な距離にある硫黄島を占領し、ここから戦闘機を発着させる必要があったのです。

 栗林中将は硫黄島への援軍を要請しますが、日本軍の総司令部である大本営は本土空襲の迎撃のための戦闘機を南方諸島から本土に引き上げる命令を出すほど切羽詰まっていますから、とてもその援軍要請に応えることはできません。硫黄島はまさに太平洋の無援の孤島と化してしまいます。このような絶望的な状況の中で、日本軍は必死に戦います。島全体に洞窟をアリの巣のように掘って、米軍に対して奇襲攻撃を繰り返し、戦闘前は3日間で陥落すると言われるほどの劣勢ながら、1か月以上持ちこたえ、戦死者数は日本の21000人に対し米軍29000人とはるかに大きな被害を与えたのでした。

 なぜ生き伸びる希望の無い状況でこれだけの応戦をし続けたのか。状況を客観的に判断すれば、日本軍に勝ち目はありません。しかしこの島を奪われれば、B29による本土空襲が開始され、多くの一般市民が犠牲になってしまいます。1日長く持ちこたえれば、都市に住む人々が地方に疎開する時間をその分稼ぐことができる。一人でも多くの日本人の命を守りたいという使命感だけが兵士を絶望的な戦闘であってもそれに向かわせるのです。

 映画では様々な人間模様が描かれます。嵐の二宮君が演じる赤紙で招集され最前線に送り込まれた若きパン職人は生きて帰りたい一心でした。理念と経営誌の「一枚の絵」という記事がありますが、前線に送られて無念の生涯を閉じる画学生が絵とともに紹介されていますが、きっとこのような心境だったのだと想像されます。本土の人たちの疎開の時間を稼ぐという使命は伝えられていたのかもしれませんが、それよりも家族と自分との未来を築きたいという願いのほうが強いのは人として当たり前といえると思います。

 そういう招集されたにわか兵士を束ね、日本軍人として潔くふるまうことを美徳とする小隊長の姿は、戦争の理不尽さそのものとして描かれます。生き恥をさらすな、と投降を許さず、逃げ場の無い兵士たちに手りゅう弾での自決を強制し、自らもピストルで自分の頭を撃ち抜きます。

 中村獅童演じる中隊長は死を恐れぬ血気盛んな軍人魂の塊のように描かれますが、最後に自ら地雷を抱えて敵軍の車両に特攻をしかけるも目的を果たせず、何のために戦っているのか茫然自失となってしまう姿は、大東亜戦争末期の日本軍そのものを描写しているように感じました。

 スカイツリーを守ったとび職の人たち、福島原発を最悪の結果から救った人たち、そして先の大戦で日本を守ってくれた人たち。こういう人たちの存在を忘れずに、少しでも明るい未来を築くことに尽力したいと思います。まずは自社から。

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