MESSAGEは弊社代表の太田和隆が社員に向けたメッセージを社外向けに加筆してみなさまに読んでいただくコラムです。
ダイヤ冷ケースの仕事に対する考え方を感じてもらえれば幸いです。

「確認」の大切さを再認識しよう

ハロウィン

「ガス元栓、よし。裏口施錠、よし。」料亭の新米調理人が厨房を閉める時に指差確認しながら最後のチェックをします。1970年代に放映された「前略おふくろ様」という萩原健一さん主演のTVドラマのひとシーンです(古いねえ)。ここの料亭の大将が熱狂的な鉄道ファンで、確認の動作は車掌さんのようにしっかり右手の人差し指で確認場所を指し示しながら声を出して行なうように新人は教育されるのです。この新人の調理人の役を志賀勝さんというコワモテの俳優さんがやると、その風貌と動きがあまりにもミスマッチで思わず笑いを誘うという場面でした。

このような確認動作を電車やバスを利用する際に目にしたことがあると思います。このような仕事は、ひとつのヒューマンエラーが人の生命に関わってきますから、ミスが無いように細やかな規則があり、それを習慣化していくことで安全の確保に努めています。

先日、静岡県の幼稚園で通園バスに園児が置き去りにされ、熱中症で死亡するという残念な事故が大きく報道されました。原因は誰でもわかるほど単純なミスが重なったことです。一つ目は園に到着したバスから子供を降車させたあとに、忘れ物が無いかなど車内の確認を怠ったこと。二つ目は欠席連絡のない園児の姿が確認できないにもかかわらず保護者に連絡を怠ったためです。そのルールを守らなかったために引き起こされた犠牲はあまりにも大き過ぎ、もはや取り返しがつきません。

事件後、一部の報道では「DXの時代なのだからバスの中にセンサーを付けて子供が置き去りにされても感知通報するようにすればよい」というような解決策が提案されていましたが、そんなことより肝心なのは園児(お客様)を大切に思う心を持ち、そのための行動を習慣するという人としての課題を解決しない限り起こり続けることでしょう。 さて私たちの「確認」に対する意識はどのようなものでしょう。普段の仕事の中でケアレスミスが静岡での事件ほどの悲劇につながるようなことはほとんど無いと感じているかもしれません。しかし工場内には大型機械が稼働していますし、金属板やガラスといった危険な部材もたくさんあります。また多くのみなさんがクルマを運転する機会があるでしょうから、人命にかかわる事故を起こしたり巻き込まれたりというリスクとも隣り合わせです。

幸いにも今まで、わが社は大きな事故を起こしたり遭遇していません。しかしヒューマンエラーに起因するミスや不具合の発生に目を向けたらどうでしょうか。仕事は「準備8割、仕上が2割」と言われますが、これから手掛ける仕事をスムースに進行させるための事前「確認」は欠かせませんし、次工程に受け渡す前に自分の仕事の出来栄えの「確認」も必須であり、人としての礼儀であると思います。それらの「確認」をしなくてもたいした事故にはならないし、もし不具合を指摘されても「ゴメン」の一言で済むからいいや、とか思っていなくてもそのような油断や甘えが私たちの中に潜んでいないでしょうか? 

電車の車掌さんが指差確認して必死に安全確保のために必要な行動習慣を身につけるように、私たちも書類に不備はないか、図面に間違いはないか、バリは無いか、図面どおりに仕上がっているか、お客様の使用に不便は無いか、など「確認」に対する意識を高める習慣を習得していきたいと思います。

我々ひとりひとりのよい習慣は品質を高め、生産性をも向上させることができます。どんなにすばらしい設備もルールも、それを運用する人間がしっかりしていなければ効果を発揮することはできません。整理・整頓・清掃・清潔・新習慣の5Sはお客様のためでもあり私たち自身のためであるのです。

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