MESSAGEは弊社代表の太田和隆が社員に向けたメッセージを社外向けに加筆してみなさまに読んでいただくコラムです。
ダイヤ冷ケースの仕事に対する考え方を感じてもらえれば幸いです。

真の実力ってなんだろう

花火

 7月31日の夜、大阪の納入先であるベーカリーM店に、担当営業2名と工場の製造部門2名が参加して、徹夜の修理を行なってくれました。無事に完了し、先様からもOKをいただけたようです。

 モバックショーでパン用のスマートウィンドウショーケースを見て、これだ!と注文をいただいたのですが、外装のシートの仕上げがうまくいかずに不満足どころか大きなクレームになってしまいました。

 シート素材は比較的安価であり、対候性などにも優れており、デザインや色彩が豊富ですから、様々な場面で建築や家具の仕上げに使われる優秀なものです。平面部分が大きいところに使用されるときは比較的簡単にきれいに仕上げられますが、特に細かい凹凸のある面を上手に仕上げるには相応の技術が必要です。私たちにはきれいに仕上げる「貼付技術」も必要ですが、同時に不具合を起こさないショーケースにふさわしい「仕上げ方」を考える力が欠かせません。どんなに優秀な「貼付力」があっても、それを活かす構造を考え出す「技術力」が伴わなければ、最終製品としてよいものは生み出せません。

 今回はお客様からクレームをいただき、対策を考え、現場での施工方法をシミュレーションし、材料を準備し、夜中に複数の人員を派遣して対応し、何とか事態を収めることができました。道具もスペースも十分ではない工場外の場所で、しかも夕方から早朝までの「時間外」の時間帯を使って、なんとか合格点に達することができました。

 場所も時間帯も不利な条件のもとで結果を作れるのに、条件の整った場面で製作したものがクレームになる。このおかしな結果はどうして起こるのでしょうか。

 2年ほど前に「ホテルA店」向けの非冷ケースを製作しました。記憶している人もいると思いますが、W3000mmの上部の石貼りの重いディスプレイスペースが前方向に引き出される特殊な仕様でした。昨年の「S精肉店」向けのショーケースも記憶に新しいところです。W3600mmの正面ペアガラスを前方向に引き出す仕様でした。どちらも今までに経験のないたいへん難しい仕様でしたが、大きなクレームは無く今日に至っています。

 事前に「この仕様はかなり手ごわいぞ」と認識して、設計に取り掛かる前に各工程のチームリーダーが集まり、どうしたらいいかを話し合い、アイディアを集めて、構造や製作方法を確定してから、設計・製作に入りました。あらかじめ難関のポイントなどは共有されていますから、製作上の細かい部分に困難なところは多々あったと思いますが、見事に成果を作り出すことができました。

 客観的に見て、「なかなかやるじゃないか、このメーカーは!」という感じの仕事ができたのではないかなと思います。私たちはきちんとやれば大きな成果を作る実力を持っているのです。それでいながら、シートの仕上げでクレームを引き起こすという、このギャップをどう受け止めたらいいのだろうか、と思いませんか?

 答えは難しくないですよね。一見、簡単そうな仕事に対し、甘く見て取り組むとこういう結果になるのですね。スポーツの世界でも、実力をもったチームが明らかに格下の相手にコロリと負けることってありますよね。相手を甘く見て、準備を怠り、本来の実力を発揮できぬままに試合を終える。納得のいかない敗北感や後悔が心を覆っていく。泣くに泣けない苛立ち。

 こういうことは経験したくないですね。仕事をなめてかかっていないか、落とし穴は無いか、よりよい工夫はできないか、想像力と集中力を発揮して、納得のいく成果を目指していきましょう。

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