MESSAGEは弊社代表の太田和隆が社員に向けたメッセージを社外向けに加筆してみなさまに読んでいただくコラムです。
ダイヤ冷ケースの仕事に対する考え方を感じてもらえれば幸いです。

現場で学んだこと

 3月はなかなか大変な1か月だったと思います。特にH百貨店のH様向けのケースは大変でしたね。

 4月1日の夜に納品して数日かけて現場作業を重ねて引き渡しをしたようですが、おかげさまで大過なく完了したという報告を聞いてホッとしました。

 R曲がりあり、隅切りあり、扉あり、庫内塗装あり、タイル仕上あり、現場ドッキング作業ありと、むずかしい要素満載でした。4月6日のグランドオープンの日に現場を訪ねましたが、多くのお客さんの中でしっかり活躍してくれていました。こういう現場に触れる瞬間は本当に嬉しいものです。

 この商談にはユーザーさんから企画を請け負うプランナー、それを図面にしていく設計士、そしてわが社による打ち合わせが何度となく重ねられ、書き換えた承認図は30枚に及びました。書き換えられる度に複雑なデザイン、形状になっていく図面を見て「これが受注になったら本当に作れるだろうか」という不安が湧き上がってくる感じでした。

 過去にも多くの難しいケースに挑んでは、現場補修をして帳尻を合わせてきた苦い経験が山ほどあります。部品を作り直し、何度も製造メンバーが夜間作業で補修をしたことがどれだけのマイナスを生んできたことか。

 今回はそのようなかつての失敗を繰り返したくありません。先手必勝ですから、仕様が煮詰まっていく段階で、早めに営業、設計、製造、現場作業予定者など関係する部署の人たちに、製作にあたっての注意点を事前に検討するミーティングを重ねて行ないました。参加者がそれぞれの視点から意見を出し合っていくうちに、各工程にて手掛けられる前に多くの準備がなされていきました。

 通常だと商談時に全体図以降の工程担当者がそのケースの情報を共有することはあまりません。普通の対面型であれば、事前情報が無くても支障なく製作が進むのは経験値の積み重ねです。しかし手ごわい特注がいつもと変わらぬやり方で進めば、うまくいくわけがありません。場合によってはとりあえず形にだけするので精一杯ということも過去にはあったことでしょう。

 今回は事前の心構えもあり、それなりの準備をしましたが、それでも実際に製作が始まると細かい不具合が発生します。予期せぬトラブルも想定しておかないといけません。予定の工程を少し延長することになりましたが、仕様に関してはなんとか計画通りに作り上げ出荷・納品することができました。

 現場で作業してくれたメンバーから報告書を受け取りましたが、細かい反省はあるものの、お客様にはご評価いただけたとの内容でした。ただしっかり反省しなくてはならないのは、他社の製品は安全性に対する細かい配慮が実にしっかりしているのに、当社にはそのような気くばりが不足しているという指摘です。手づくり商品はそのような点が作り手の人間性の表れでもあると思うのです。そう思うとこの点はしっかり反省し、まだまだ目くばり、気くばり、心くばりのレベルは低いと自覚し、社員全員が「3くばり」を社風として磨いていかなくてはなりません。

 それでもこの案件をこのレベルで完遂できたことは私たちの力の証明として、自信をもって受け止めていいと感じています。それぞれの部署が事前に意見を出し合い、お互いの仕事を「自分事」としてとらえ、コミュニケーションを活発にして、事に当たれば立派な成果を創り出すことができるのです。準備8割・仕上が2割、と言いますが、まさにその実践が結果として実を結んだと思います。

 この経験をもとに、私たち一人一人が日頃の仕事に対して、しっかりとした準備と3つの「くばり」を高めていきましょう。

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